小野派一刀流・架九品の構え

 
 
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長正館は、笹森順造十六代宗家から、昭和47年(1972年)3月に認可を受け、現在、小野派一刀流宗家道場禮楽堂大阪支部道場として活動しています
 
小野派一刀流・架九品(かけきゅうひん)の構え
 (長正館の内部資料より一部抜粋して掲載)

一刀流の構えには、架九品(かけきゅうひん)の構えがある。
敵から当たるところも敵を切るところも、
天地四方四隅、すなわち八方に中を加えた九方である。
この構えは敵の構えによって千能万様(せんたいばんよう)に対応する。

1.陰
2.陽
3.正眼
4.上段
5.下段
6.本覚
7.霞(中、下、上)
8.脇構
9.隠剣


※下の構えは基本のかたちであり不変ではなく状況に応じて変化するものである。

1)陰の構え
一刀流 陰の構え
左足前にして、太刀を右斜め前に垂直に傘を持ったように立てる。右脇に寄せているように見えるが左拳は臍前の身体の中心線上である。左前腕を水平にとり、左手にて柄頭を握る。刃先は若干正面に向ける。陰の構えは、人は北に立って南に向かい、旭日の出る方は左で太陽の陰は右である。ゆえに右脇に太刀を立てた構えを陰の構えと呼び、左の方に構えたのを陽の構えと呼ぶ。
 
2)陽の構え
一刀流 陽の構え
右足前にして、太刀を左斜め前に垂直に傘を持ったように立てる。左脇に寄せているように見えるが左拳は臍前の身体の中心線上である。左前腕を水平にとり、左手にて柄頭を握る。刃先は若干正面に向ける。陰の構えと陽の構えは、ほぼ足の入れ替えの違いだけ。
 
3)正眼の構え
正眼の構え
右足前の右自然体。一足一刀の間合いで、剣先は延長線が相手の左目に向く。柄頭は身体から拳2つ分前。左の親指第二関節が自分の臍の前。両足の踵は少し浮く。左足は撞木足でも構わない。(ただし剣道修行者には真っ直ぐ向けるように指導している)
 
4)上段の構え(写真は左上段の構え)
左上段の構え
陰の構えから、そのまま太刀を振り上げ、左拳が自分の額に位置で構える。両手の中心(柄の中央部)が正中線となる。太刀の方向は左前腕部と同方向になるため剣先は自然と右方向に傾く。右上段の場合は右足前になり剣先は傾けずに垂直になるのが基本(ただし左あるいは右上腕部と一直線にして左右に傾けても状況に応じてあり得る)である。
 
5)下段の構え
下段の構え
右足前の右自然体。正眼の構えから剣先を下げ、一足一刀の間合いで剣先の延長線が相手の臍下1寸〜3寸に向く。相手が自分と同じ体格であれば剣先は水平よりやや下になる。正眼の構えをそのまま下げた柄頭の位置でも、身体の中央にしても良い。両足の踵は少し浮く。左足は撞木足でも構わない。(ただし剣道修行者には真っ直ぐ向けるように指導している)
 
6)本覚(ほんがく)の構え
本覚の構え
正眼から両手を引き、両肘を張り、刃先を左水平に向け、相手の顔の中心に対し切先と柄頭を一点に揃える。いっさいの構えを一点に納め、いかようにも転化しうる構えである。大太刀の地生之合下段、引身之本覚、抜順皮の仕方、高上極意五点の独妙剣の仕方で使う。逆本覚の構えは本覚の構えを手の内を180度回転させ、刃先を右水平に、左足を前にした構えである。また構えでは無いが、手の内の動きとして、本覚、逆本覚の右手の遣い方は、相手の技を封じ、攻撃に転ずる、重要かつ実戦的な刀法の基本である。
 
7)霞(中、下、上)

中段霞の構え
中段霞の構え
陰の構えから左拳そのまま切先を下げた構え。剣先は顔の中心、もしくは咽喉に付ける。己の意図を相手に悟られず自在に技を出す構えである。
 
下段霞の構え
下段霞の構え
中段霞から剣先を水平よりわずかに下げた構え。剣先は相手の中心、基本的には下丹田(臍下1寸〜3寸)に向ける。
 
上段霞の構え
上段霞の構え
高霞ともいう。中段霞から右拳を頭上にとり、身体はほぼ右向きとなる。剣先は相手の顔の中心に付ける。右足先が横や後ろを向かないようにする。
 
8)脇構(脇の構え)
脇構え
下段から右足を引き、切先は膝頭よりやや低く構える。相手にわが左肩を差し出し、つられる相手の技を、張り、巻き、払い、凌いで打ち取る構えである。戦場において、複数の全周囲の敵に効果的に即応できる実戦的な構えと言える。状況に応じてやや前傾になっても良い。
 
9)隠剣(おんけん)の構え
穏剣の構え
脇構から、前に出した左足をやや右に移動し、左足、身体、右足、切先が一直線状に並ぶようにする。相手から、わが太刀を隠す構えである。また、穏剣の派生版として、上の写真の構えから、切先をさらに下にし、太刀を垂直気味に下げ、自分の右足に添わせる穏剣も長正館には伝わっている。
 
 
 

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